遺言について気になること
遺言を作成する前や作成後に何か気になることや疑問等が生じた際は,Q&A一覧に掲載されている情報をご一読いただき,参考にしていただければと思います。
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遺言の種類
1 大きく分けて遺言は3種類
遺言書には、大きく分けて、「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」の3種類があります。
このうち実務で使われるのは、ほとんどが「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」ですので、この2つの遺言書について、ご説明いたします。
なお、特別方式遺言として、「危急時遺言」と「隔絶地遺言」が存在しますが、特別な場合を除いてほとんど利用されない制度ですので、割愛いたします。
2 自筆証書遺言
自筆証書遺言とは、手書きで作成する遺言書のことを言います。
作成の方法として、財産目録を除く全文について、手書きで作成していただき、作成日を記入後、署名、押印をしていただければ完成です。
書いていただく紙や筆記用具については、特に指定はありませんので、紙とペンさえあれば、遺言書を作成できます。
このように、自筆証書遺言は、簡単に、かつ、費用もほとんどかからずに作成することが可能です。
もっとも、気を付けていただきたい点として、自筆証書遺言は、失敗が基本的に許されず、遺言書の要件(財産目録を除く全文を手書きし、日付を記入、署名、押印すること)が一つでも欠けてしまうと、基本的に、遺言書は無効になります。
また、日付の記入についても、「令和4年11月吉日」や「令和5年元旦」といった記載をしてしまうと、無効になる可能性もあります。
さらに、本文の書き方も、「長男に全財産をまかせます」といった書き方だと、遺言書の内容が無効になる可能性があります。
そのため、自筆証書遺言を作成する場合は、一度、専門家にご相談されてから作成するか、作成したものを専門家に確認してもらうのが安心です。
3 公正証書遺言
公正証書遺言とは、公証人が作成する遺言書のことをいい、公証人という専門家と証人2名の立ち合いのもと作成される遺言書です。
作成の方法としては、公証役場に行って作成する場合と、公証人に病院や施設に出張してもらい、作成する方法があります。
公正証書遺言のメリットとしては、公証人が遺言書の作成に関与するため、遺言書が無効になるリスクを減らすことができます。
例えば、公正証書遺言は、自筆証書遺言に比べ、遺言の文言解釈で問題になることはほとんどなく、また、遺言書の偽造も争われることは基本的にありません。
さらに、認知症の際に作成された遺言書であっても、公正証書遺言の場合は、自筆証書遺言に比べ、無効になる割合が低いです。
このように、公正証書遺言は、紛争予防の観点から非常に有用なものであるといえます。
他方で、公正証書遺言のデメリットとして、自筆証書遺言に比べ数万円単位で費用がかかる点と、作成するのに日数がかかる点があげられます。
そのため、簡単な遺言書であれば、自筆証書遺言で作成していただき、難しい内容や財産が複数ある方は、公正証書遺言で作成されることをおすすめします。
遺言書作成を不動産に詳しい弁護士に依頼すべき理由
1 遺言書も不動産の書き方が重要
⑴ 遺言書の書き方の落とし穴
遺言書について、土地や建物の不動産の書き方次第では、遺言書を書いた人の思いが実現されない場合があります。
例えば、単に「自宅を長男に相続させる」と遺言書に書いた場合、自宅が建っている土地については、遺言書の対象外になる可能性があります。
そうなってしまった場合、その土地について相続人全員で遺産分割の協議をすることとなり、話し合いがまとまらなければ裁判まで発展してしまう可能性もあります。
⑵ 専門家でも見落としてしまう場合もある
自宅の前の私道が遺言作成者本人の名義になっていることがあります。
本人でさえも、私道が誰の名義か把握していない場合が多いです。
この私道についても遺言書で記載しておかないと、自宅の前の私道が使えない事態になり、最悪、他の相続人にお金を支払って、私道を使わせてもらうことになるかもしれません。
この点について、専門家であっても見落としている場合がよくありますので、注意が必要です。
2 不動産次第では相続税が大きく異なる
⑴ 誰に不動産を渡すかによって税金が大きく異なる
遺言書の中で、誰に不動産を渡すかによって、税金が大きく変わることがあります。
例えば、相続税の申告において、不動産の評価額が最大80%減額されるという小規模宅地等の特例があります。
この特例を使った場合、5000万円の土地が1000万円の価値と評価されることになり、その分、税金も大幅に節約することができます。
そのため、この特例をどの土地に使えば、より節税になるのかを考えて、遺言書を作成する必要があります。
⑵ 税理士でもミスしがちな不動産評価
また、不動産の評価については、相続税を計算する上で、もっとも難しいところの一つです。
実際、長年税理士をやっているベテランの先生でも、不動産評価を間違えてしまうことがあります。
税理士に頼んで相続税申告をしたが、不動産評価を間違って申告してしまった結果、本来支払う額よりも2000万円多く税申告をしなければならなくなった事例もあります。
そのため、遺言書を作成される際は、相続税に精通した税理士にご相談の上、作成されることをおすすめします。
3 遺留分の額も不動産の価格次第で大きく変わる
⑴ 遺留分に配慮した遺言書でないと大変なことになる場合も
遺言書を作成する際は、遺留分にも配慮する必要があります。
遺留分とは、簡単にいうと、相続人に保証された最低限度の権利のことを言います。
この遺留分については、遺言書で財産を渡さないと記載した場合であっても、請求することができます。
基本的に遺留分額については、遺産の総額の何パーセントかといった形で計算します。
そのため、遺産のほとんどが不動産の場合には、不動産の価格によって、遺留分額も大きく異なる場合があります。
この遺留分については、原則、遺留分相当額をお金で払わなければなりません。
遺産や手持ちに現金がない場合は、不動産を売却してお金に変えるか、もしくは、借金をしなければならなくなるかもしれません。
⑵ 不動産の価格は1つじゃない
不動産の価額については、いろいろな算定方法があり、どの算定方法を採用するかによって、価格が大きく変わります。
例えば、固定資産税評価額と言われる額は、一般に時価(実勢価格)の7割程度とされています。
この価格を基準に遺留分額を算定する場合、遺留分の額が少なくなってしまう場合があります。
⑶ 遺留分対策と不動産
このように、遺留分については、不動産の価格次第で、その額が大きく異なり、遺言書を作成される際は、その点にも注意しておく必要があります。
そのため、遺言書を作成される際は、不動産の価格がいくらぐらいなのか、遺留分額はいくらなのかを把握しておいた方が良いでしょう。
その上で、一部の不動産については、ご生前中に渡しておくことや、遺留分を請求するであろう相続人に渡しておくなどの対策が必要となります。
4 遺言書作成は不動産に強い弁護士にご相談を
これまで見てきたように、遺言書を作成する際は、不動産に関する専門的な知識が必要になります。
また、不動産については、専門家であっても、見落としてしまったり、間違えてしまったりすることがあります。
そのため、遺言書を作成される際は、不動産に強い弁護士にご相談されることをおすすめします。
遺言書を作成する専門家の選び方
1 法律と税金のことを考えて選ぶ
遺言書の作成を専門家に依頼しようと思っても、どの専門家に依頼すればいいのか迷っている方もいらっしゃるでしょう。
遺言書の作成を依頼する専門家としては、弁護士や司法書士、税理士や行政書士、信託銀行などなど、様々な専門家がいます。
それぞれの専門家について、得意不得意はあるため、一概にここがいいとは言えませんが、おすすめは、弁護士と税理士がいる事務所に依頼することです。
理由としては、遺言書の作成には、遺留分や遺産分割方法の指定の内容、予備的条項の有無、遺言無効のリスク等といった法律面の知識や、相続税や譲渡所得税、贈与税等の税金面の知識が必要になるためです。
そのため、弁護士と税理士がいる事務所に遺言書の作成を依頼した方が、法律的にも税金的にも、より安心でしょう。
2 専門家の強みによって選ぶ
遺言書を作成する専門家として、弁護士と税理士がいる事務所をおすすめしましたが、それぞれの強みに応じて専門家を選ぶこともおすすめします。
例えば、相続人らがすでに仲が悪く、相続が起こった時に財産を巡って争いになる可能性が高ければ、弁護士に遺言書の作成を依頼した方がよいでしょう。
他方、財産の中に不動産があるなどで相続税申告に不安がある方は、税理士に遺言書作成を依頼した方がよいかもしれません。
このように、専門家の強みによって、遺言書の作成を依頼するか選んでもよいでしょう。
3 遺言の無料相談を活用する
どの専門家に依頼したらよいか分からない方や、遺言書作成に不安がある方は、遺言の無料相談を活用してみることもおすすめです。
最近は、無料での相談を実施している事務所も多くなってきましたので、一度、無料相談を利用してみてから依頼する専門家を決めるのもよいかと思います。
実際に話をすることで、遺言に関する知識が豊富であるかということが分かりますし、その人との相性がよいかも確認することができます。
当法人も、遺言の無料相談を受け付けております。
相続の案件を得意とする弁護士が遺言の作成をサポートいたしますし、他士業と連携できる体制も整えておりますので、まずはお気軽にご相談ください。
専門家に遺言書作成を依頼してからの流れ
1 一般的な流れについて
遺言書作成を専門家に依頼してから、遺言書の作成、その後の遺言書の保管まで、具体的には
- ①専門家との遺言書作成契約の成立
- ②必要な書類の取得
- ③公正証書遺言の場合は、公証人との事前の打合せ
- ④遺言書の作成
- ⑤遺言書の保管
といった流れになります。
ここでは、この一般的な流れについて簡単にご説明します。
2 ①専門家との遺言書作成契約の成立
専門家に依頼する場合、まず、遺言書作成に関して専門家と契約する必要があります。
一般的に、契約書に署名・押印すれば、専門家との契約が完了します。
3 ②必要な書類の取得
遺言書作成に必要な書類を集めます。
基本的に、通帳のコピーや登記情報等、財産内容が分かる資料と戸籍や住民票などの身分関係が分かる資料が必要になります。
また、公正証書遺言の場合は、印鑑登録証明書も必要になります。
なお、登記情報や戸籍、住民票などは、専門家に代わりに取ってもらうことも可能です。
4 ③公正証書遺言の場合は、公証人との事前の打合せ
公正証書遺言の場合、作成前に、専門家と公証人とが、遺言書の内容や作成日程等について打合せをします。
その際、遺言書の内容に問題がないか等についてチェックします。
遺言書の内容に問題がなければ、公証人が遺言書の原案を作成します。
5 ④遺言書の作成
公正証書遺言の場合は、当日、証人2人と公証役場に行き、遺言書を作ります。
具体的には、遺言を作成する人が公証人に遺言の内容を伝え、その後、公証人が遺言内容を読み上げ、その内容に間違いがなければ、事前に公証人が作成した遺言書に署名押印するという流れで遺言書を作成します。
自筆証書遺言の場合は、財産目録以外の本文及び日付を自書し、署名押印すれば完成です。
6 ⑤遺言書の保管
遺言書作成後は、遺言書を金庫などで保管します。
通常、遺言書は2通作成し、1通は遺言者が、もう1通は専門家が保管する場合が多いです。
専門家が遺言書を保管する際、場合によっては遺言書保管料がかかることがあります。
一般的に費用としては、年5000円~1万円のところが多いです。
遺言作成をお考えの方へ
1 遺言書を作成する際の注意点
遺言書には厳格なルールがあり、法律上、絶対に間違えてはならない要件が決まっています。
要件が一つでも欠けてしまうと、せっかく作成した遺言書が無効になってしまいます。
また、遺言書自体は有効なものであっても、その内容次第では、親族間の泥沼の紛争を巻き起こしてしまうこともあります。
そこで、これから遺言作成をお考えの方、遺言の内容を変更しようとお考えの方に向けて、遺言書を作成する上で気を付けるべきポイントを紹介していこうと思います。
2 外してはいけない遺言書の要件
⑴ 遺言の種類
遺言書には、よく使われるものとして、手書きで書く自筆証書遺言と、公証人の立ち合いのもとで作成される公正証書遺言の二種類があります。
遺言書には、よく使われるものとして、手書きで書く自筆証書遺言と、公証人の立ち合いのもとで作成される公正証書遺言の二種類があります。
⑵ 自筆証書遺言の要件
自筆証書遺言の場合、①財産目録を除く全文、②日付、③名前をすべて手書きで記載し、④押印する必要があります。
これらの要件のうち、一つでも欠けてしまった場合、遺言書自体が無効になってしまいます。
自筆証書遺言の場合、①財産目録を除く全文、②日付、③名前をすべて手書きで記載し、④押印する必要があります。
これらの要件のうち、一つでも欠けてしまった場合、遺言書自体が無効になってしまいます。
⑶ 公正証書遺言の要件
公正証書遺言の場合は、公証人立ち合いのもとで遺言書が作成されるため、上記のような形式的な要件についての間違いはほぼ起こりません。
公正証書遺言の場合は、公証人立ち合いのもとで遺言書が作成されるため、上記のような形式的な要件についての間違いはほぼ起こりません。
⑷ 自筆証書遺言と公正証書遺言に共通する要件
他方、自筆証書遺言と公正証書遺言に共通する要件として、遺言能力があげられます。
遺言能力とは、簡単に言うと、遺言書を作成する際に要求される判断能力のことです。
例えば、認知症が進み、人の名前も覚えていない状態では遺言能力があるのか疑わしくなります。
このように、認知症が進み判断能力が低下している状態で作成された遺言書は、相続が発生した後、遺言書の有効性をめぐって争いになり、裁判で無効と判断される可能性があります。
実際、公正証書遺言であっても、遺言能力が欠けているとして無効になった事例が複数あります。
そのため、遺言書を作成する際は、遺言能力にも注意する必要があります。
他方、自筆証書遺言と公正証書遺言に共通する要件として、遺言能力があげられます。
遺言能力とは、簡単に言うと、遺言書を作成する際に要求される判断能力のことです。
例えば、認知症が進み、人の名前も覚えていない状態では遺言能力があるのか疑わしくなります。
このように、認知症が進み判断能力が低下している状態で作成された遺言書は、相続が発生した後、遺言書の有効性をめぐって争いになり、裁判で無効と判断される可能性があります。
実際、公正証書遺言であっても、遺言能力が欠けているとして無効になった事例が複数あります。
そのため、遺言書を作成する際は、遺言能力にも注意する必要があります。
3 紛争予防にも気を配った遺言書を
遺言書の内容が抽象的であったり、遺留分を侵害するものであったりした場合、相続発生後、相続人間で紛争になるかもしれません。
たとえ仲の良い相続人であっても、相続をきっかけに紛争になることは多々あります。
そのため、遺言書を作成する際は、紛争予防の点も考慮する必要があります。
4 税金にも配慮した遺言書の作成
自宅の土地や建物、預貯金や保険等を含めた総財産額が3000万円以上ある場合は、相続税がかかる可能性があります。
相続税は、基本的に、現金で一括払いしなければならず、遺産や相続人の手持ちの財産で支払えない場合、借金をするか、もしくは遺産を売ってでも、税金を支払わなければなりません。
遺言書を作成する際に、一緒に相続税対策も行うことで、相続税額を大幅に減らし、相続人の負担を軽減することもできます。
このように遺言書を作成する際には、財産を受け取った相続人が困らないように、税金のことについても注意する必要があります。